エストロゲンが子宮筋腫を育てる
子宮筋腫はエストロゲン依存性の疾患です。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンという種類がありますが、そのうちのエストロゲンばかりが多く分泌されると悪化しやすい病気ということです。
もうひとつのプロゲステロンには、「子宮筋腫を育てる」という説と「子宮筋腫の成長を抑止する」という説があり、確かなことは分かっていません。
ただ、プロゲステロンが分泌されれば相対的にエストロゲンの濃度は低まり、子宮筋腫が育ちにくくなるのではないかと考えられます。
妊娠中・授乳期は子宮筋腫が育ちにくい
なぜ、エストロゲンによって子宮筋腫が大きくなると言えるのでしょうか。
それは、エストロゲン分泌量が少ない女性は子宮筋腫の発症率が低いという事実によるものです。
ここで、妊娠しない女性と、妊娠回数が多い女性のホルモンバランスを比較してみましょう。
まず、妊娠していない女性の場合、月経を周期的に繰り返しています。
月経が起こってから排卵までの間、エストロゲンの分泌量は増えていき、特に排卵の直前はエストロゲンの割合が非常に高くなります。
そのため、妊娠しない (=月経回数が多い) 女性はエストロゲン優位の状態が長くなり、子宮筋腫が育ちやすいと見られています。
次に、妊娠回数が多い女性のホルモンバランスはどうでしょうか。
妊娠中は言うまでもなく月経は止まっているので、エストロゲンばかりが大量に分泌される時期というものは基本的にありません。
ただし、妊娠中は女性ホルモンの分泌量が急激に増加しますので、やはりエストロゲンによって子宮筋腫は成長しやすくなります。
しかし、大きくなりすぎた子宮筋腫は、全体に栄養分が行き渡らなくなり、壊死を起こすことが多いのです。
壊死した子宮筋腫は柔らかくなり、小さくしぼんで、その後は大きくなることはありません。
これに加えて、授乳期 (出産後約1年間) は月経が止まっているため、エストロゲンの分泌量が減少します。
そのため、授乳期は子宮筋腫が育ちにくいこともよく知られている事実です。
子どもを産む女性は、妊娠中は筋腫の自然消滅、授乳期はエストロゲンの減少によって、子宮筋腫の成長が抑止されるという恩恵を受けられるのです。
エストロゲンが優位な時代になった
以前は子宮筋腫と言えば中年女性の病気と思われていましたが、最近では20代の若い女性にも発症するようになってきました。
このように若い女性の子宮筋腫が増えている一因として、女性の晩婚化と産む子供の人数が減ったことが挙げられています。
1980年ごろまでは大半の女性が20代で子どもを産み始めていましたが、昨今では晩婚化が進み、30代前半で初めて子どもを産む女性が多くなりました。
その結果、20代の女性の多くは妊娠や授乳を経験しなくなり、エストロゲンが優位になって、子宮筋腫が好発するようになったと言われています。
さらに、1人の女性が産む子どもの人数も年々減少しつつあります。
ベビーブームの時期は子どもを3人以上産むのが普通でしたが、現在では1人か2人しか産まない女性が大半です。
それはそのまま、妊娠回数・授乳回数の減少ということですから、やはりエストロゲンが優位になり、子宮筋腫が発生する危険性は年々高まってきていると言えます。