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子宮動脈塞栓術の原理

これまでの子宮筋腫手術は、筋腫を切除するか子宮ごと取り出すという、物理的な除去によって行われてきました。
それに対し、子宮動脈塞栓術は、切除ではなく壊死させることによって子宮筋腫を自滅に追い込む手術方法です。

子宮筋腫の食道をブロックする

子宮筋腫は子宮動脈という血管から栄養素や酸素を取り込んで成長して大きくなっていく筋腫です。
この子宮動脈が、子宮筋腫の唯一の食道になっているのです。
それはつまり、子宮動脈に栓をして詰まらせてしまえば、子宮筋腫に栄養素や酸素が行かなくなり、筋腫は自ら壊死していくということになります。
子宮動脈塞栓術は、このような子宮筋腫と血管の構造を利用し、子宮動脈に塞栓物質 (栓をするための物質) を投与して、子宮筋腫を壊死に追い込んで排除する手術です。

カテーテルから塞栓物質を投与する

子宮動脈塞栓術が実際にどのような手順で行われるのかを紹介します。

まず、MRI検査によって子宮筋腫の位置や大きさなどを確認した後、足の付け根を数ミリほど切開してカテーテル (細いプラスチックの管) を差し込みます。
切開する面積が狭いため、このとき使う麻酔は局所麻酔で十分です。
X線でカテーテルが子宮動脈まで到達したことが確認できたら、いよいよ塞栓物質を投与して、左右2本の子宮動脈を詰まらせます。
このとき使う塞栓物質はゼラチンなどでできていて、通常は手術後数週間で体内に吸収されてしまうので取り出す必要はありません。
左右の子宮動脈の塞栓が終了し、カテーテルを抜いたら、それで手術は終了となります。
手術時間はおよそ30分程度で、出血量も少ないため、過多月経で貧血症状が出ている人でも安心して行えます。

壊死した子宮筋腫は徐々に小さくなる

手術後、2本の子宮動脈はゼラチンなどの塞栓物質によって塞がれています。
この状態が2日間も続けば、子宮筋腫は栄養不足で次々と壊死を起こし、塞栓物質が体内に吸収されて栓が抜ける頃には、小さくなり始めているでしょう。
個人差はありますが、3ヶ月で半分くらいの大きさに、半年から1年くらいで、30%くらいにまで縮小する場合が多いようです。
筋腫を切除する手術ではないので、効果が出るまでに時間がかかり、筋腫も完全に体外に排出されるわけではありませんが、症状はほぼ改善されます。

術後の症状

下腹部の強い痛み

子宮筋腫は子宮動脈だけから栄養を取り込んでいますが、子宮本体は多数の血管から栄養を受けているため、この手術で子宮本体まで壊死することはありません。
ただ、子宮動脈に栓をしたことによって、手術後の数時間は一時的に子宮の血流が悪くなるため、子宮収縮が起こり、下腹部が痛みます。
この痛みには、鎮痛剤などで対処することになるでしょう。

壊死した子宮筋腫が出てくることもある

子宮動脈塞栓術は子宮筋腫を直接取り除く手術ではないため、壊死した筋腫の残骸は子宮に残ります。
その筋腫の残骸が膣から排出される場合があることを覚えておきましょう。
また、小さくなっているが完全には壊死していない筋腫が膣から垂れ下がるように出てくる場合もあります。
この場合は筋腫分娩と同じような状態になるため、切除する必要があります。